どうして歯茎は下がるの?
歯茎は年を重ねるとともに下がっていくと言います。しかし、歯の形は変わりませんので、歯茎が下がることで、歯が大きくなった様に見えたり、歯の根が露出してくることで、冷たいものがしみてきたり、といったことが起こります。本日は、歯茎が下がる原因についてお話しします。
「歯茎が下がるとはどういうこと?」
歯茎が下がることを、歯肉退縮といいます。歯肉とは、歯茎の正式名称です。歯肉退縮は、困ったことに年齢とともに増大するといわれています。その頻度は、子どもで50%、50歳台で100%ともいわれています。歯肉退縮の症状は、歯茎の縁が歯の下の方へ移動することで、歯の根が露出した様な状態になることにあります。ただし医学的には、これ以外に歯茎の縁は普通の状態であるけれど、歯と歯茎の隙間である歯周ポケットが深くなっている様な状態も、歯肉退縮に含めて考えられています。このような状態は、いわば”隠れ歯肉退縮”ともいえ、患者自身が気がつきにくいところに問題があります。
「歯茎が下がる原因は?」
①歯ブラシを正しく使用できていない
実は、最も多い原因として、不適切な歯ブラシの使用といわれています。特に硬すぎる歯ブラシの使用によって発症することが多いようです。こういった場合の特徴として、歯みがきが行なわれていることにより、歯茎の炎症自体は少ないということがあげられます。そして、ごく一部の歯茎だけではなく、お口全体の歯茎が下がっていることが多いともいわれております。
②歯周病
歯周病も歯茎を下げてしまう原因のひとつにあげられます。歯周病になりますと、歯槽骨とよばれる歯を支える骨がダメージを受けて減ってしまいます。歯茎は、歯槽骨の上にあるので、歯槽骨が減ってくると、それにともない歯茎も下がってくる様になります。ただし、適切に治療されていない、すなわち放置された状態の歯周病の場合は、歯茎が下がっておらず、隠れ歯肉退縮になっている場合がありますので、注意が必要です。
③加齢
歯茎は、上記の要因がなくても、年齢とともに下がってしまうことが知られています。年間に平均して0.25mmずつ下がってくるという報告もあります。この計算ですと、仮に20歳から歯茎が下がり始めるとすると、60歳になる頃には10mmに達する計算になります。もちろん、全ての人が等しく10mm減ってくるわけではありません。そこには個人差が大きく影響しています。その半分にもみたない人もいれば、それ以上になる人もいますし、60歳までに抜けてしまっている人もいます。すなわち、正しい磨き方をしていても、歯ならびがきれいであっても、歯茎が下がってくることがあるということは、覚えておいてくださいね。