歯医者での定期検診の流れ

はじめに
「歯医者は痛くなってから行くもの」と考えている方は少なくありませんが、実は定期検診こそが歯の健康を守る最も重要な習慣です。虫歯や歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、痛みを感じたときにはすでに進行していることが多いのです。定期検診では、こうした問題を早期に発見し、最小限の治療で対処できます。また、プロフェッショナルクリーニングにより、自宅でのケアでは落としきれない汚れを除去し、口腔環境を整えることができます。この記事では、歯科医院での定期検診がどのような流れで行われるのか、何をチェックされるのか、どのくらいの時間がかかるのかなど、詳しく解説していきます。定期検診の内容を理解することで、不安なく受診でき、口腔ケアへの意識も高まるでしょう。
定期検診の予約から受付まで
適切な検診間隔
定期検診の理想的な間隔は、一般的に3ヶ月から6ヶ月に1回とされています。口腔内の状態が良好な方は6ヶ月に1回でも問題ありませんが、歯周病のリスクが高い方、過去に歯周病の治療を受けた方、虫歯になりやすい方などは3ヶ月に1回の受診が推奨されます。歯科医師から次回の検診時期を提案されることが多いので、その指示に従うとよいでしょう。
予約の取り方
多くの歯科医院では、前回の検診終了時に次回の予約を取ることができます。また、診察券に次回予約日が記載されたり、予約日が近づくとハガキやメール、SMSでリマインダーが届いたりするシステムを導入している医院も増えています。予約を忘れがちな方は、スマートフォンのカレンダーにリマインダーを設定しておくとよいでしょう。
受付での手続き
来院したら、まず受付で診察券と保険証を提示します。初診から6ヶ月以上経過している場合や、月初めの受診時には必ず保険証の確認が必要です。また、前回の受診から体調や服用している薬に変化があった場合は、必ず申し出ましょう。特に、抗凝固薬や骨粗鬆症の薬を服用している場合は、治療内容に影響することがあるため重要です。
問診と口腔内チェック
問診票の記入
初めての医院や、しばらく間が空いた場合は、問診票への記入を求められることがあります。現在の口腔内の気になる点、全身疾患の有無、服用中の薬、アレルギーの有無などを記入します。「特に気になることはない」と感じていても、小さな変化や違和感があれば記入しておきましょう。
歯科医師による問診
診察室に案内されると、まず歯科医師や歯科衛生士が口頭で問診を行います。前回の検診以降に気になったことはないか、痛みや違和感はないか、歯磨きの習慣に変化はないかなどを確認します。この際、気になることがあれば遠慮せずに伝えましょう。小さな疑問でも、口腔健康を守る重要な情報になることがあります。
視診と触診
歯科医師が口腔内を直接観察します。一本一本の歯の状態、歯茎の色や腫れ、舌や頬の内側の粘膜の状態などを細かくチェックします。ミラーや探針(先端が細い器具)を使って、虫歯の有無、詰め物や被せ物の状態、歯の摩耗や亀裂などを確認します。触診では、顎の関節の動き、リンパ節の腫れなども調べます。
レントゲン検査
レントゲン撮影の目的
定期検診では、必要に応じてレントゲン撮影が行われます。目視では確認できない歯と歯の間の虫歯、歯の根の状態、顎の骨の状態、親知らずの位置などを把握するために重要な検査です。通常、1年から2年に1回程度の頻度で撮影されます。
レントゲンの種類
パノラマレントゲンは、顎全体を一度に撮影できるもので、全体的な口腔内の状態を把握するのに適しています。デンタルレントゲンは、特定の歯を詳細に撮影するもので、虫歯の深さや根の治療の状態を確認する際に使用されます。最近では、被曝量が少ないデジタルレントゲンが主流になっており、安全性も向上しています。
撮影時の注意点
レントゲン撮影時は、防護用のエプロンを着用します。妊娠中または妊娠の可能性がある方は、必ず事前に申し出てください。歯科用のレントゲンは被曝量が極めて少ないですが、安全を最優先するため、必要性を慎重に判断します。
歯周病検査
歯周ポケットの測定
歯周病検査では、プローブと呼ばれる目盛りのついた細い器具を使って、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを測定します。健康な状態では1ミリから3ミリ程度ですが、4ミリ以上になると歯周病の可能性があります。全ての歯の周囲、通常は1本につき6箇所を測定するため、時間がかかりますが、歯周病の早期発見には欠かせない検査です。
出血や動揺度のチェック
歯周ポケットの測定時に出血がないかも重要な指標です。健康な歯茎は触れても出血しませんが、炎症があると簡単に出血します。また、歯の揺れ具合(動揺度)も確認します。歯周病が進行すると、歯を支える骨が溶けて歯が動くようになります。
歯周病検査の結果説明
検査結果は、歯周病の進行度を示すチャートで説明されることが多いです。ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺などが記録され、前回の検査結果と比較して、改善しているか悪化しているかを確認します。必要に応じて、歯磨きの方法や生活習慣の改善について指導を受けます。
プロフェッショナルクリーニング
歯石の除去(スケーリング)
歯石は、歯垢が石灰化して硬くなったもので、歯ブラシでは除去できません。超音波スケーラーという器具を使って、歯の表面や歯茎の中の歯石を丁寧に取り除きます。超音波の振動で歯石を粉砕しながら、水で洗い流します。歯茎の炎症がある場合、歯石除去時に出血することがありますが、これは炎症部分が清潔になる過程で起こる正常な反応です。
歯面清掃(ポリッシング)
歯石を除去した後は、研磨剤を使って歯の表面を磨きます。これにより、歯の表面の細かな凹凸が滑らかになり、汚れがつきにくくなります。コーヒーやお茶、タバコによる着色汚れも、この段階である程度除去できます。フッ素入りの研磨剤を使用することで、虫歯予防の効果も期待できます。
フロッシングと最終チェック
歯間部の清掃として、デンタルフロスを使って歯と歯の間の汚れを除去します。クリーニング後、歯科医師が最終的に口腔内を確認し、磨き残しがないか、出血している部分がないかなどをチェックします。
フッ素塗布
フッ素塗布の効果
希望者や虫歯のリスクが高い方には、フッ素塗布が行われます。フッ素には歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化する効果があります。また、虫歯菌の活動を抑制する作用もあります。特に子どもや、虫歯になりやすい方、歯の根が露出している方には効果的です。
フッ素塗布の手順
歯の表面を乾燥させた後、ジェル状やフォーム状のフッ素を歯に塗布します。数分間そのままにして、フッ素を歯に浸透させます。塗布後30分程度は飲食を控えるよう指示されます。フッ素塗布は痛みもなく、数分で完了する簡単な処置です。
ブラッシング指導
個別の歯磨き指導
歯科衛生士が、患者さん一人ひとりの口腔内の状態や歯並びに合わせて、適切な歯磨き方法を指導します。磨き残しが多い部分を赤く染め出す染色液を使って、普段のブラッシングで磨けていない箇所を可視化することもあります。鏡を見ながら、正しい歯ブラシの当て方、動かし方を実践的に学べます。
デンタルフロスや歯間ブラシの使い方
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを除去できないため、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方も指導されます。初めての方には、実際に使い方を見せながら、コツを教えてもらえます。適切なサイズの歯間ブラシの選び方や、フロスの持ち方なども丁寧に説明してくれます。
生活習慣へのアドバイス
歯磨きの技術だけでなく、食生活や生活習慣についてもアドバイスを受けることがあります。間食の回数、甘い飲み物の摂取頻度、喫煙の有無などが口腔健康に影響するため、必要に応じて改善点を提案されます。
検診結果の説明と今後の計画
総合的な評価
すべての検査が終了すると、歯科医師から総合的な評価と説明があります。虫歯や歯周病の有無、治療が必要な箇所、口腔内の全体的な健康状態などについて、分かりやすく説明してくれます。必要に応じて、レントゲン画像や口腔内写真を見せながら説明されることもあります。
治療計画の提案
もし虫歯や歯周病が見つかった場合は、治療計画が提案されます。治療の必要性、治療方法、期間、費用などについて詳しく説明を受け、納得した上で治療を開始するかどうかを決められます。急を要する治療でない場合は、持ち帰って検討することも可能です。
次回の検診予約
口腔内の状態に応じて、次回の検診時期が提案されます。状態が良好であれば6ヶ月後、注意が必要な場合は3ヶ月後など、個別に判断されます。その場で次回の予約を取っておくと、検診を忘れる心配がありません。
定期検診にかかる時間と費用
所要時間
定期検診にかかる時間は、口腔内の状態によりますが、通常30分から1時間程度です。初めての医院や久しぶりの受診の場合は、検査項目が多くなるため、1時間以上かかることもあります。時間に余裕を持って予約を取ることをお勧めします。
費用の目安
保険診療での定期検診の費用は、3割負担で2,000円から4,000円程度が一般的です。レントゲン撮影や歯石除去の範囲によって金額は変動します。初診料や再診料、検査料、クリーニング料などが含まれます。自費診療のクリーニングを選択した場合は、5,000円から10,000円程度かかることもあります。
まとめ
歯科医院での定期検診は、予約から受付、問診、レントゲン検査、歯周病検査、クリーニング、フッ素塗布、ブラッシング指導、結果説明という一連の流れで行われます。所要時間は30分から1時間程度、費用は保険適用で2,000円から4,000円程度です。
定期検診の目的は、虫歯や歯周病の早期発見と予防です。自覚症状がなくても、3ヶ月から6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、口腔内を健康に保ち、将来的な治療費や通院の負担を大幅に減らすことができます。痛くなる前に歯医者に通う習慣をつけ、生涯にわたって自分の歯で食事を楽しめるよう、口腔健康を守りましょう。
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