虫歯はどうしてできるの?原因をわかりやすく解説
はじめに
虫歯は誰もが一度は経験したことがある、最も身近な歯の病気です。子どもの頃から「甘いものを食べると虫歯になる」「歯磨きをしないと虫歯になる」と言われてきた方も多いでしょう。しかし、虫歯がどのようなメカニズムでできるのか、なぜ歯が溶けてしまうのか、詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。虫歯の原因を正しく理解することは、効果的な予防につながります。本記事では、虫歯ができるメカニズムを分かりやすく解説し、虫歯の原因となる要素について詳しくご紹介します。虫歯の仕組みを知ることで、日々のケアの大切さがより実感できるはずです。
虫歯とは何か
虫歯は、正式には「う蝕」と呼ばれ、歯が細菌によって溶かされていく病気です。虫という生き物が歯を食べているわけではなく、口の中にいる細菌が作り出す酸によって、歯が徐々に溶けていく現象です。
初期段階では歯の表面のエナメル質が白く濁る程度ですが、進行すると歯に穴が開き、さらに放置すると神経まで達して激しい痛みを引き起こします。最終的には歯を失う原因にもなる深刻な病気です。
日本人の約9割が一生のうちに虫歯を経験すると言われており、まさに国民病とも言える病気です。特に子どもや若い世代に多く見られますが、大人になっても虫歯のリスクはなくなりません。
虫歯ができるメカニズム
虫歯がどのようにしてできるのか、そのプロセスを段階的に見ていきましょう。
プラークの形成
虫歯の始まりは、歯の表面に付着するプラーク(歯垢)の形成です。プラークは、食べ物のカスではなく、細菌の塊です。歯を磨かずにいると、歯の表面に白くネバネバした物質が付着しますが、これがプラークです。
プラークは非常に多くの細菌から成り立っており、1ミリグラム中に約10億個もの細菌が存在すると言われています。この中には、虫歯の原因となるミュータンス菌などが含まれています。
細菌が酸を産生する
プラーク中の虫歯菌は、私たちが食べた食べ物の中の糖分(特にショ糖)を栄養源として利用します。細菌が糖分を分解する際に、副産物として酸を作り出します。
この酸が、歯の表面に付着した状態で長時間存在することが問題となります。酸性の環境が続くと、歯の成分であるカルシウムやリン酸が溶け出していきます。
脱灰が起こる
酸によって歯の成分が溶け出す現象を「脱灰」と呼びます。歯の最も外側にあるエナメル質は、体の中で最も硬い組織ですが、酸には弱いという弱点があります。
食事をすると、口の中は酸性に傾き、脱灰が始まります。この状態が続くと、エナメル質の表面が少しずつ溶けていき、初期虫歯の状態になります。
再石灰化との綱引き
実は、口の中では常に脱灰と再石灰化という相反する現象が起こっています。唾液には、酸を中和する働きと、溶け出したカルシウムやリン酸を歯に戻す働き(再石灰化)があります。
健康な状態では、脱灰と再石灰化のバランスが取れており、歯は守られています。しかし、このバランスが崩れて脱灰が優位になると、虫歯が進行していきます。
虫歯の進行
初期段階では、エナメル質の表面が白く濁る程度ですが、脱灰が進むとエナメル質に穴が開きます。さらに進行すると、エナメル質の下にある象牙質まで達し、この段階で冷たいものがしみるなどの症状が現れます。
象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行速度が速くなります。さらに放置すると、歯の中心にある神経(歯髄)まで達し、激しい痛みを引き起こします。
虫歯の原因となる4つの要素
虫歯は、4つの要素が重なることで発生します。これを「カイスの輪」と呼びます。
細菌
虫歯の直接的な原因は、口の中にいる細菌です。特にミュータンス菌は、虫歯の主な原因菌として知られています。この細菌は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいませんが、周囲の大人から感染します。
ミュータンス菌は、歯の表面に強く付着する性質があり、糖分から酸を作り出す能力が高いため、虫歯を引き起こしやすいのです。
糖質(食べ物)
虫歯菌が酸を作り出すためには、栄養源となる糖分が必要です。特にショ糖(砂糖)は、虫歯菌が最も好む栄養源です。
甘いお菓子やジュースはもちろんですが、ご飯やパン、果物などの炭水化物も、口の中で分解されると糖になります。つまり、ほとんどの食べ物が虫歯の原因になり得るのです。
歯の質
歯の強さには個人差があります。エナメル質が厚く、硬い歯は虫歯になりにくく、薄くて弱い歯は虫歯になりやすい傾向があります。
歯の質は遺伝的な要素もありますが、フッ素を適切に使用することで、エナメル質を強化し、虫歯に対する抵抗力を高めることができます。
時間
細菌が酸を作り出し、歯を溶かすには時間がかかります。食後、口の中が酸性になっている時間が長ければ長いほど、虫歯のリスクは高まります。
ダラダラと長時間食べ続けたり、頻繁に間食をしたりすると、口の中が常に酸性の状態になり、再石灰化の時間が取れないため、虫歯ができやすくなります。
虫歯になりやすい条件
虫歯の4つの要素に加えて、以下のような条件が重なると、さらに虫歯のリスクが高まります。
歯磨きが不十分
歯磨きをしっかり行わないと、プラークが歯に蓄積し続けます。特に歯と歯の間や、歯と歯茎の境目、奥歯の溝などは磨き残しが多い部分で、虫歯ができやすい場所です。
唾液の分泌が少ない
唾液には、酸を中和する、再石灰化を促す、細菌を洗い流すなど、虫歯を防ぐ重要な働きがあります。唾液の分泌が少ないと、これらの防御機能が低下し、虫歯になりやすくなります。
加齢、ストレス、特定の薬の副作用などで唾液の分泌が減少することがあります。
間食や糖分摂取の頻度が多い
食事の回数が多いほど、口の中が酸性になる時間が長くなります。特に甘いものを頻繁に食べると、虫歯菌に常に栄養を与えている状態になり、虫歯のリスクが大幅に上がります。
歯並びが悪い
歯並びが悪いと、歯ブラシが届きにくい部分ができ、磨き残しが多くなります。その結果、プラークが蓄積しやすく、虫歯になりやすくなります。
過去に虫歯治療をした歯
虫歯治療で詰め物や被せ物をした歯は、天然の歯と人工物の境目から再び虫歯になることがあります。これを「二次虫歯」と呼びます。
年齢による虫歯のリスクの違い
虫歯は、年齢によってできやすい場所や原因が異なります。
子どもの虫歯
子どもの虫歯は、乳歯や生えたばかりの永久歯にできやすいです。乳歯や若い永久歯は、エナメル質が薄く柔らかいため、虫歯の進行が早いのが特徴です。
また、子どもは甘いものを好み、歯磨きも不十分になりがちなため、虫歯のリスクが高くなります。
大人の虫歯
大人になると、歯と歯の間や、以前治療した歯の二次虫歯が増えます。また、加齢とともに歯茎が下がり、本来歯茎に覆われていた歯の根の部分が露出すると、そこに虫歯ができることもあります。
根の部分はエナメル質がなく柔らかいため、虫歯の進行が非常に速いのが特徴です。
虫歯を予防するために
虫歯ができるメカニズムを理解すれば、効果的な予防方法も見えてきます。
毎日の丁寧な歯磨きでプラークを除去すること、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間もケアすること、糖分の摂取を控え、ダラダラ食べをしないこと、フッ素入り歯磨き粉を使用すること、定期的に歯科検診を受けることなどが重要です。
特に、食後できるだけ早く歯を磨くことで、酸性の時間を短くし、虫歯を防ぐことができます。また、唾液の分泌を促すために、よく噛んで食べることや、キシリトール入りのガムを噛むことも効果的です。
まとめ
虫歯は、口の中の細菌が糖分を分解して作り出す酸によって、歯が溶かされる病気です。細菌、糖質、歯の質、時間という4つの要素が重なることで発生します。口の中では常に脱灰と再石灰化が起こっており、このバランスが崩れると虫歯が進行します。虫歯を予防するには、毎日の丁寧な歯磨き、糖分摂取のコントロール、フッ素の活用、定期的な歯科検診が重要です。虫歯のメカニズムを理解し、適切なケアを行うことで、生涯にわたって健康な歯を保つことができます。

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