親知らずは抜くべき?残すべき?:歯科医師が教える判断基準と対処法

親知らずは抜くべき?残すべき?:歯科医師が教える判断基準と対処法

はじめに

「親知らずが生えてきたけど、抜いた方がいいの?」多くの人が一度は悩む問題です。親知らずは、10代後半から20代前半にかけて生えてくる最も奥の歯で、正式には第三大臼歯といいます。「親知らず」という名前は、親が知らないうちに生えてくることに由来しています。現代人は顎が小さくなり、親知らずが正常に生えるスペースがない人が多いため、様々なトラブルを引き起こすことがあります。しかし、すべての親知らずを抜く必要があるわけではありません。この記事では、親知らずを抜くべきケース、残しても良いケース、抜歯のメリットとリスクについて、歯科医師の視点から詳しく解説していきます。

親知らずとは

最後に生える永久歯

親知らずは、一番奥に生える永久歯で、上下左右に1本ずつ、合計4本あります。ただし、もともと親知らずがない人や、4本すべてが生えない人もいます。

生える時期

10代後半から20代前半に生えてくることが多いですが、30代以降に生えてくる人もいます。また、一生歯ぐきの中に埋まったままの人もいます。

現代人の顎の小ささ

人類の進化の過程で、柔らかい食べ物が増えたことにより、現代人の顎は小さくなってきています。そのため、親知らずが正常に生えるスペースがなく、斜めに生えたり、一部だけ顔を出したり、完全に埋まったままになったりすることが多いのです。

親知らずを抜くべきケース

痛みや腫れがある

親知らずの周りが炎症を起こし、痛みや腫れがある場合は、抜歯が推奨されます。これを「智歯周囲炎」といい、繰り返すことが多いです。

斜めや横向きに生えている

親知らずが斜めや横向きに生えていると、手前の歯を押して歯並びを悪くしたり、手前の歯をむし歯にしたりする可能性があります。

むし歯になっている

親知らず自体がむし歯になっている場合、最も奥にあるため治療が困難です。また、むし歯を治療しても、清掃が難しく再発しやすいため、抜歯が選択されることが多いです。

手前の歯をむし歯にしている

斜めに生えた親知らずと手前の歯の間に汚れが溜まり、手前の歯がむし歯になることがあります。この場合、親知らずを抜くことで手前の歯を守ることができます。

歯ぐきに一部だけ出ている

歯ぐきから一部だけ出ている親知らずは、歯と歯ぐきの間に汚れが溜まりやすく、炎症を起こしやすいです。

嚢胞ができている

親知らずの周りに嚢胞(液体の溜まった袋)ができることがあります。これが大きくなると、顎の骨を溶かす可能性があるため、親知らずとともに摘出が必要です。

矯正治療のため

歯列矯正を行う際、スペースを確保するために親知らずを抜くことがあります。

妊娠前

妊娠中は抜歯が難しいため、将来的に問題を起こしそうな親知らずは、妊娠前に抜いておくことが推奨されることがあります。

親知らずを残しても良いケース

まっすぐ正常に生えている

上下の親知らずがまっすぐ正常に生え、噛み合わせにも参加している場合は、抜く必要はありません。通常の歯と同様にケアしましょう。

完全に骨の中に埋まっている

親知らずが完全に骨の中に埋まっていて、痛みもなく、周囲の歯や組織に影響を与えていない場合は、無理に抜く必要はありません。

ただし、定期的にレントゲンでチェックすることが重要です。

痛みや症状がない

斜めに生えていても、痛みや腫れなどの症状がなく、手前の歯に影響を与えていない場合は、すぐに抜く必要はありません。

ただし、将来的に問題を起こす可能性があるため、定期的な経過観察が必要です。

将来の移植に使える可能性

奥歯を失った場合、親知らずを移植できることがあります。健康な親知らずが正常に生えている場合、将来の選択肢として残しておく価値があります。

抜歯のメリット

トラブルの予防

将来的に炎症やむし歯などのトラブルを起こす前に抜歯することで、予防できます。

手前の歯を守る

親知らずが手前の歯を押したり、むし歯にしたりするリスクを防げます。

清掃性の向上

最も奥の親知らずがなくなることで、その手前の歯が磨きやすくなり、口腔衛生が向上します。

若いうちの方が抜きやすい

若いうちは骨が柔らかく、抜歯後の回復も早いです。年齢とともに抜歯が困難になることがあります。

抜歯のリスクと注意点

痛みと腫れ

抜歯後、数日間は痛みや腫れが出ることがあります。特に、下の親知らずを抜いた場合は、顔が腫れることもあります。

出血

抜歯後、数時間から1日程度、少量の出血が続くことがあります。

ドライソケット

抜歯後の穴に血餅ができず、骨が露出する「ドライソケット」という状態になると、強い痛みが続くことがあります。

神経損傷のリスク

下の親知らずの根の近くには、下顎の神経が走っています。稀に、抜歯の際に神経を傷つけ、唇や顎の感覚が鈍くなることがあります。

ただし、多くの場合は一時的で、数か月で回復します。

上顎洞との交通

上の親知らずの根が上顎洞(鼻の横の空洞)に近い場合、抜歯後に穴が開くことがあります。通常は自然に閉じますが、処置が必要な場合もあります。

抜歯の時期

痛みがある時は応急処置後

炎症があり痛みがある時は、すぐに抜歯はできません。まず抗生物質などで炎症を治めてから、後日抜歯します。

若いうちが理想

20代前半から30代前半が、抜歯に最適な時期とされています。骨が柔らかく、回復も早いからです。

妊娠前

女性の場合、妊娠を計画している場合は、その前に問題のある親知らずを抜いておくことが推奨されます。

抜歯後のケア

安静にする

抜歯当日は、激しい運動、長時間の入浴、飲酒を避け、安静にしましょう。

冷やす

腫れを抑えるため、頬を外から冷やします。ただし、冷やしすぎは避けましょう。

処方薬の服用

処方された痛み止めや抗生物質は、指示通りに服用しましょう。

食事の工夫

抜歯当日から翌日は、柔らかく刺激の少ない食べ物を選びます。熱すぎるもの、辛いものは避けましょう。

抜歯部位を避けて歯磨き

抜歯した部位は触らず、他の歯は通常通り磨きましょう。

うがいは控えめに

強いうがいは、血餅が取れてドライソケットの原因になります。軽く口をゆすぐ程度にしましょう。

判断に迷ったら

親知らずを抜くべきか残すべきか迷った場合は、複数の歯科医師の意見を聞くセカンドオピニオンも有効です。

レントゲンやCT画像を見ながら、親知らずの位置、神経との距離、将来のリスクなどを総合的に判断してもらいましょう。

定期的な経過観察

親知らずを残すことにした場合も、定期的に歯科医院で経過観察を受けることが重要です。年に1回から2回はレントゲンでチェックしましょう。

まとめ

親知らずは、すべてを抜く必要があるわけではありません。痛みや腫れがある、斜めに生えている、むし歯になっている、手前の歯に悪影響を与えているなどの場合は、抜歯が推奨されます。

一方、まっすぐ正常に生えている、完全に埋まっていて症状がない、将来の移植に使える可能性があるなどの場合は、残しても構いません。

抜歯にはメリットとリスクの両方があります。若いうちの方が抜きやすく回復も早いですが、神経損傷などのリスクもあります。

自分の親知らずの状態をレントゲンで確認し、歯科医師と相談しながら、抜くか残すかを慎重に判断しましょう。判断に迷った場合は、セカンドオピニオンを求めることも有効です。

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