歯医者が教える「正しい間食」:虫歯を作らない賢いおやつの選び方

歯医者が教える「正しい間食」:虫歯を作らない賢いおやつの選び方

はじめに

「間食は虫歯の原因」と聞いて、おやつを我慢している方も多いのではないでしょうか。確かに、間食の取り方によっては虫歯のリスクが高まります。しかし、完全に我慢する必要はありません。間食の内容、タイミング、食べ方を工夫すれば、虫歯のリスクを抑えながら、楽しくおやつを食べることができます。特に子どもにとって、間食は成長に必要な栄養を補う大切な食事でもあります。大人も、適切な間食により、空腹によるストレスを軽減し、仕事の効率を上げることができます。この記事では、なぜ間食が虫歯の原因になるのか、どのような間食が歯に良くないのか、そして歯医者が推奨する正しい間食の選び方とタイミングについて詳しく解説します。賢い選択で、健康な歯を守りながら、間食を楽しみましょう。

なぜ間食が虫歯の原因になるのか

口腔内のpH変化

食事や間食をすると、口腔内の細菌が糖分を分解して酸を産生します。この酸により、口腔内のpHが酸性に傾き、歯のエナメル質からミネラルが溶け出します。これを脱灰と呼びます。

通常、食後30分から2時間程度で、唾液の働きにより口腔内のpHは中性に戻り、溶け出したミネラルが歯に戻る再石灰化が起こります。

しかし、頻繁に間食をすると、口腔内が常に酸性に保たれ、再石灰化の時間が不足します。その結果、脱灰が進行し、虫歯ができてしまいます。

だらだら食べの危険性

食事の時間を決めずに、だらだらと長時間食べ続けると、口腔内が酸性の時間が長くなり、虫歯のリスクが非常に高まります。間食の回数よりも、口腔内が酸性になっている時間の長さが重要です。

虫歯になりやすい間食

砂糖を多く含むもの

チョコレート、キャンディー、クッキー、ケーキ、アイスクリームなど、砂糖を多く含むものは、虫歯菌の大好物です。

粘着性の高いもの

キャラメル、ガム(砂糖入り)、グミ、餅など、歯にくっつきやすいものは、長時間口腔内に留まり、虫歯のリスクを高めます。

酸性の飲み物

炭酸飲料、スポーツドリンク、果汁100%ジュース、乳酸菌飲料などは、糖分が多いだけでなく、酸性度が高く、直接歯を溶かす作用があります。

長時間口に含むもの

飴やトローチは、長時間口の中に留まり、継続的に糖分を供給するため、虫歯のリスクが非常に高くなります。

歯に優しい間食の選び方

糖分が少ないもの

ナッツ類、チーズ、ヨーグルト(無糖または低糖)、煮干し、するめなど、糖分が少ないものを選びましょう。

キシリトール入りのもの

キシリトールは、虫歯菌が酸を作れない甘味料です。キシリトール入りのガムやタブレットは、虫歯予防に効果的です。

噛み応えのあるもの

ナッツ、干し芋、するめ、りんごなど、よく噛む必要があるものは、唾液の分泌を促進し、口腔内の自浄作用を高めます。

カルシウムやリンを含むもの

チーズ、牛乳、ヨーグルト、小魚などは、歯の再石灰化を促進するカルシウムやリンを含んでいます。特にチーズは、虫歯予防効果が高いとされています。

食物繊維が豊富なもの

野菜スティック、果物(りんご、梨など)は、食物繊維が豊富で、噛むことで歯の表面を自然に清掃してくれます。

おすすめの間食リスト

最もおすすめ

チーズ、ナッツ類(アーモンド、くるみなど)、キシリトール入りガム、煮干し、するめ、昆布、無糖ヨーグルト、野菜スティック(にんじん、きゅうり、セロリなど)です。

まあまあおすすめ

おにぎり(少量)、ふかし芋、干し芋、果物(りんご、梨、いちごなど)、無塩または薄味のせんべい、ポップコーン(砂糖なし)です。

果物には果糖が含まれますが、食物繊維やビタミンも豊富なため、適量であれば問題ありません。

できれば避けたい

チョコレート、クッキー、ケーキ、キャラメル、グミ、飴、アイスクリーム、スナック菓子、炭酸飲料、スポーツドリンク、果汁ジュースです。

どうしても食べたい場合は、食べ方やタイミングを工夫しましょう。

間食のタイミング

時間を決める

間食の時間を決め、それ以外の時間は口に何も入れないようにしましょう。例えば、午後3時のおやつタイムと決めます。

食後すぐに食べる

間食を食事の直後に食べることで、口腔内が酸性になる回数を減らせます。食後のデザートとして食べるのは、実は理にかなった方法です。

就寝前は避ける

就寝中は唾液の分泌が減少し、自浄作用が低下します。就寝前の間食は、虫歯のリスクを大幅に高めるため、絶対に避けましょう。

頻度を減らす

1日に何度も間食するよりも、1回にまとめて食べる方が、口腔内が酸性になる回数が減り、虫歯のリスクが低くなります。

間食後のケア

水で口をすすぐ

間食の後は、水で口をすすぐことで、口腔内の糖分や酸を洗い流せます。外出先で歯磨きができない場合に特に有効です。

歯磨きをする

理想的には、間食の後も歯を磨くことです。ただし、酸性の強い飲食物を摂取した場合は、30分程度経ってから磨きましょう。すぐに磨くと、柔らかくなったエナメル質を傷つける可能性があります。

キシリトールガムを噛む

歯磨きができない場合は、キシリトール入りのガムを噛むことで、唾液の分泌を促進し、口腔内を中性に戻す手助けができます。

お茶や水を飲む

間食と一緒に、お茶や水を飲むことで、口腔内を洗浄できます。特に緑茶は、カテキンの抗菌作用により虫歯予防に効果的です。

子どもの間食の注意点

栄養補給の役割

子どもの胃は小さく、3回の食事だけでは必要な栄養を摂取できないことがあります。間食は、第4の食事として、栄養を補う役割があります。

おやつの時間を決める

幼児期から、おやつの時間を決める習慣をつけましょう。だらだら食べを防ぐことが重要です。

量を決める

お皿に適量を盛り付け、袋ごと与えないようにしましょう。食べ過ぎを防ぎます。

飲み物は水かお茶

ジュースやスポーツドリンクではなく、水やお茶を飲む習慣をつけましょう。

親が手本を示す

親が砂糖の多いお菓子を食べながら、子どもに我慢させることはできません。家族みんなで歯に優しい間食を選びましょう。

甘いものを食べたい時の工夫

食事の直後に食べる

どうしても甘いものを食べたい場合は、食事の直後にデザートとして食べましょう。

一度にまとめて食べる

少しずつ何度も食べるよりも、一度にまとめて食べる方が、虫歯のリスクは低くなります。

砂糖不使用の製品を選ぶ

砂糖の代わりにキシリトールやエリスリトールなどの代替甘味料を使用した製品を選びましょう。

すぐに歯を磨く

甘いものを食べた後は、できるだけ早く歯を磨きましょう。

飲み物の選び方

最もおすすめ

水、お茶(緑茶、麦茶、ルイボスティーなど)です。

注意が必要

コーヒーや紅茶は、砂糖を入れなければ大丈夫ですが、着色の原因になります。

避けるべき

炭酸飲料、スポーツドリンク、エナジードリンク、果汁ジュース、乳酸菌飲料は、糖分が多く、酸性度も高いため、頻繁に飲むのは避けましょう。

どうしても飲みたい場合は、ストローを使う、一気に飲む、飲んだ後に水で口をすすぐなどの工夫をしましょう。

間食と虫歯予防の両立

間食を楽しみながら虫歯を予防するためには、何を食べるか、いつ食べるか、食べた後どうするかの三つが重要です。

糖分が少なく、噛み応えのあるものを選び、時間を決めて食べ、食後は水で口をすすぐか歯を磨く。これを習慣にすることで、間食と虫歯予防は十分に両立できます。

まとめ

間食が虫歯の原因になるのは、口腔内が頻繁に酸性になり、再石灰化の時間が不足するためです。砂糖を多く含むもの、粘着性の高いもの、酸性の飲み物は避け、チーズ、ナッツ、キシリトール入りガム、煮干し、野菜スティックなど、歯に優しい間食を選びましょう。時間を決めて食べ、食後は水で口をすすぐか歯を磨くことが大切です。子どもの間食は栄養補給の役割もあるため、適切な内容と量を選びましょう。甘いものを食べたい時は、食事の直後にまとめて食べ、すぐに歯を磨く工夫をします。賢い選択と習慣により、間食を楽しみながら健康な歯を守ることができます。正しい知識を持って、虫歯を作らない間食を実践しましょう。

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