噛む力と姿勢の関係
はじめに

「噛む力」と「姿勢」。一見すると関係のないように思えるこの2つですが、実は密接につながっています。噛み合わせが悪いと姿勢が崩れ、逆に姿勢が悪いと噛み合わせに悪影響を及ぼすという、相互に影響し合う関係にあります。近年、スマートフォンやパソコンの使用により、悪い姿勢で過ごす時間が増え、それに伴い噛み合わせの問題を抱える方も増加しています。また、歯を失ったり、虫歯で適切に噛めなかったりすることで、姿勢が崩れ、肩こりや腰痛などの全身症状が現れることもあります。この記事では、噛む力と姿勢の関係について、そのメカニズムや影響、改善方法などを詳しく解説していきます。
噛む力と全身のバランス
咬合と頭の位置
人間の頭部は、成人で約5キログラムもの重さがあります。この重い頭を支えるためには、首や肩の筋肉だけでなく、全身のバランスが重要です。
正しい噛み合わせでしっかり噛めると、頭の位置が安定し、首や背骨にかかる負担が均等に分散されます。しかし、噛み合わせが悪いと、頭の位置がずれ、首や肩の筋肉に偏った負担がかかります。
咀嚼筋と姿勢筋のつながり
噛むときに働く筋肉(咀嚼筋)と、姿勢を保つための筋肉(姿勢筋)は、筋膜や神経を通じてつながっています。特に、側頭筋や咬筋などの咀嚼筋は、首や肩の筋肉と連動しています。
噛み合わせが悪く、片側だけで噛む癖があると、左右の咀嚼筋のバランスが崩れます。これにより、首や肩の筋肉にも左右差が生じ、姿勢の歪みにつながります。
重心の変化
噛み合わせの位置により、体の重心が変化します。正しい噛み合わせでは、体の重心が中心にあり、安定した姿勢を保てます。
しかし、噛み合わせが高すぎたり低すぎたりすると、重心が前後にずれます。前傾姿勢や後傾姿勢になり、腰や膝にも負担がかかります。
噛み合わせの問題が姿勢に与える影響
片側噛みによる影響
虫歯や歯の欠損、噛み合わせの不具合などにより、片側だけで噛む癖がつくことがあります。片側噛みを続けると、噛む側の咀嚼筋が発達し、反対側の筋肉が衰えます。
この筋肉の左右差により、顔が歪むだけでなく、首や肩の位置もずれてきます。さらに、背骨のS字カーブが崩れ、骨盤の傾きにまで影響が及びます。結果として、全身の姿勢が歪み、慢性的な肩こりや腰痛の原因となります。
上顎前突(出っ歯)と姿勢
上顎前突、いわゆる出っ歯の方は、前歯で適切に噛むことができず、奥歯に過度な負担がかかります。また、下顎が後方に位置するため、バランスを取るために頭が前方に突き出る姿勢になりがちです。
この「頭部前方位」の姿勢は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、肩こりや頭痛の原因となります。また、猫背にもつながりやすくなります。
受け口と姿勢
下顎前突、いわゆる受け口の方は、下顎が前方に位置するため、バランスを取るために体が後方に傾く傾向があります。腰が反った姿勢(反り腰)になりやすく、腰痛の原因となることがあります。
開咬と姿勢
前歯が噛み合わない状態を開咬と言います。開咬の方は、奥歯だけで噛むことになり、顎関節に負担がかかります。また、口呼吸になりやすく、舌の位置が下がることで、首の筋肉が緊張し、姿勢が崩れやすくなります。
姿勢の悪さが噛み合わせに与える影響
猫背と噛み合わせ
猫背の姿勢では、頭が前方に突き出し、下顎が後方に押し込まれます。この状態が続くと、顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが高まります。
また、下顎の位置が後方にずれることで、噛み合わせの位置も変化し、歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなります。
スマホ首(ストレートネック)
スマートフォンやパソコンの画面を長時間見続けることで、首が前に傾く「スマホ首」や「ストレートネック」と呼ばれる状態になる方が増えています。
この姿勢では、頭が前方に位置するため、バランスを取るために下顎が後方に引かれます。長期的には、噛み合わせの位置が変化し、顎関節症や歯ぎしりの原因となることがあります。
頬杖と噛み合わせ
デスクワークや勉強中に頬杖をつく癖がある方は要注意です。頬杖により、顎に継続的な圧力がかかり、顎の位置がずれたり、歯並びが悪化したりすることがあります。
特に成長期の子どもの場合、頬杖が顎の成長に影響を与え、顔の歪みや噛み合わせの問題を引き起こすことがあります。
噛む力と姿勢の関係による症状
肩こり・首こり
噛み合わせの問題により、咀嚼筋が過度に緊張すると、首や肩の筋肉にも緊張が伝わります。また、姿勢の歪みにより、特定の筋肉に負担が集中し、慢性的な肩こりや首こりが生じます。
頭痛
側頭筋などの咀嚼筋の緊張は、緊張型頭痛の原因となります。また、噛み合わせの問題により顎関節に負担がかかると、関連痛として頭痛が現れることもあります。
腰痛
噛み合わせの歪みは、全身のバランスに影響を及ぼします。頭や首の位置がずれることで、それを補正するために背骨や骨盤の位置も変化し、腰に負担がかかります。
顎関節症
姿勢の悪さにより下顎の位置が変化すると、顎関節に不自然な力がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。口を開けにくい、顎が痛い、音が鳴るなどの症状が現れます。
めまい・耳鳴り
顎関節は耳の近くにあり、顎関節の問題が内耳に影響を与えることがあります。顎関節症により、めまいや耳鳴りが生じることが報告されています。
噛む力と姿勢を改善する方法
正しい噛み合わせの治療
噛み合わせに問題がある場合は、歯科医師に相談しましょう。矯正治療、被せものの調整、欠損歯の補綴治療など、適切な治療により噛み合わせを改善できます。
噛み合わせが改善されると、咀嚼筋のバランスが整い、姿勢も自然と良くなることが多いです。
両側で均等に噛む習慣
意識的に両側の歯で均等に噛むようにしましょう。片側噛みの癖がある場合は、使っていない側でも噛むように心がけます。
食事の際は、ゆっくりと、左右両方の奥歯を使ってしっかり噛むことが大切です。
正しい姿勢の意識
日常生活で正しい姿勢を意識しましょう。座るときは、背もたれに背中をつけ、足を床にしっかりつけます。パソコン作業の際は、画面を目の高さに調整し、頭が前に出ないようにします。
スマートフォンを見るときは、顔の高さまで持ち上げ、下を向き続けないようにしましょう。
ストレッチと運動
首や肩のストレッチを定期的に行うことで、筋肉の緊張を和らげることができます。また、全身の筋力バランスを整える運動も効果的です。
ヨガやピラティスなど、姿勢と体幹を意識した運動もお勧めです。
咀嚼筋のマッサージ
咬筋や側頭筋を優しくマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐすことができます。顎の疲れや頭痛の予防にもなります。
ただし、強く押しすぎないように注意してください。
歯ぎしり・食いしばり対策
就寝時の歯ぎしりや、日中の食いしばりは、咀嚼筋を過度に緊張させ、姿勢にも悪影響を及ぼします。
歯ぎしりがある場合は、歯科医院でナイトガードを作製してもらいましょう。日中の食いしばりに気づいたら、意識的に力を抜くようにします。
定期的な歯科検診
定期的に歯科検診を受け、噛み合わせの状態をチェックしてもらいましょう。小さな問題のうちに対処することで、大きな問題への進展を防げます。
子どもの噛む力と姿勢
成長期の子どもにとって、正しい噛み合わせと姿勢は特に重要です。この時期に悪い習慣が定着すると、顎の成長や歯並びに影響を及ぼします。
硬いものをしっかり噛む食習慣、正しい姿勢での食事、頬杖をつかない、口呼吸ではなく鼻呼吸をするなど、子どものうちから良い習慣を身につけることが大切です。
まとめ
噛む力と姿勢は、相互に影響し合う密接な関係にあります。噛み合わせの問題は姿勢を崩し、悪い姿勢は噛み合わせに悪影響を及ぼします。その結果、肩こり、頭痛、腰痛、顎関節症など、様々な症状が現れることがあります。
噛む力と姿勢を改善するためには、噛み合わせの治療、両側で均等に噛む習慣、正しい姿勢の意識、ストレッチや運動、定期的な歯科検診などが重要です。
口腔の健康と全身の健康は一体です。歯科医師と医師が連携して、総合的なアプローチで健康を守ることが理想的です。噛む力と姿勢の関係を理解し、日々の生活の中で改善に取り組みましょう。
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