歯ぎしりで歯が割れることはある?原因・リスク・予防法を徹底解説
はじめに

「歯ぎしりをしていると言われたが、歯への影響はどの程度あるのだろう」「歯が割れたのは歯ぎしりのせいだろうか」――こうした疑問や不安を持つ方は少なくありません。
結論からいえば、歯ぎしりによって歯が割れることは実際にあります。就寝中の歯ぎしりや日中の食いしばりが生み出す力は、食事中の噛む力をはるかに超えることがあり、歯・詰め物・かぶせ物に深刻なダメージを与え続けます。一度にバキッと割れることは少ないですが、繰り返しの荷重によって歯にひびが入り、やがて割れへと発展するケースが多く見られます。
「自分は歯ぎしりくらいしていても大丈夫」と思っている方こそ、歯のダメージが静かに蓄積されていることを知っておく必要があります。この記事では、歯ぎしりで歯が割れるメカニズム・割れやすい歯の特徴・放置した場合のリスク・予防と対処法について詳しく解説します。
歯ぎしりが歯に加える力はどのくらいか
通常の食事中に歯にかかる噛む力は、成人で平均50〜70kgf程度とされています。ところが、睡眠中の歯ぎしりでは無意識のうちに100〜150kgf、場合によってはそれ以上の力がかかることが報告されています。覚醒時の食いしばりも同様に、非常に大きな力を歯に集中させます。
人間の歯はある程度の衝撃には耐えられるよう設計されていますが、食事と異なりほぼ一点に集中した横方向の力(グラインディング)や持続的な垂直方向の圧力(クレンチング)が繰り返しかかると、エナメル質・象牙質・セメント質のいずれかにマイクロクラック(微細なひび)が生じやすくなります。こうしたひびが蓄積・拡大することで、最終的に歯の破折につながります。歯ぎしりの力は「じわじわと」歯を追い詰めていくのです。
歯ぎしりで起こる歯の破折の種類
歯ぎしりによる歯の損傷は、程度や部位によっていくつかの種類に分けられます。
① エナメル質・象牙質の破折(カスプ破折)
歯の咬頭(こうとう)と呼ばれる山の部分が割れる「カスプ破折」は、歯ぎしりによって起こりやすい破折の一つです。突然「バキッ」という感覚とともに歯の一部が欠けることもあれば、徐々に進行して気づいたときには大きく割れているケースもあります。
破折がエナメル質・象牙質の範囲内であれば詰め物やかぶせ物で修復できますが、神経(歯髄)に達している場合は根管治療が必要になります。早期に発見するほど治療の選択肢が広がるため、定期検診が重要です。
② 歯根破折(しこんはせつ)
歯根(歯を支える根の部分)にひびが入ったり折れたりする歯根破折は、歯ぎしりによる長期的な過重負荷が主な原因のひとつです。特に、神経を取って根管治療を行った歯は内部が空洞化して脆くなっているため、歯根破折が起こりやすいとされています。
歯根破折の怖さは、外見からはわかりにくく、レントゲンにも映りにくい場合があるという点です。噛むと痛い・歯茎が腫れる・歯が少し動く気がするといった症状が繰り返す場合は歯根破折を疑う必要があります。残念ながら、歯根が大きく割れてしまった場合は抜歯が避けられないことが多く、歯ぎしりによる破折の中でも最も深刻な結果につながります。
③ クラックトゥース(歯のひび割れ)
肉眼では見えないほどの細かなひびが歯に入った状態を「クラックトゥース(歯冠破折)」といいます。特定の方向に噛んだときだけ鋭い痛みが走る・冷たいものや熱いものがしみる・痛みの場所が特定しにくいといった症状が特徴です。
クラックトゥースは歯ぎしりのある人に特に多く見られ、診断が難しいことでも知られています。ひびが浅い段階では保存的な治療(かぶせ物で保護するなど)が可能ですが、ひびが歯根にまで達すると抜歯になるリスクがあります。「何となく噛んだときだけ痛む」という曖昧な症状が続く場合は早めに受診しましょう。
歯ぎしりで特に割れやすい歯・状況
根管治療(神経を取った)歯
神経を除去して根管治療を行った歯は、歯に栄養を供給していた神経・血管がなくなることで歯質が脆くなり、もろさが増します。歯ぎしりの力が加わると、健全な歯より格段に破折しやすい状態になっています。根管治療後の歯にはかぶせ物(クラウン)での保護が推奨される理由のひとつがここにあります。歯ぎしりがある場合は特に、早期のかぶせ物装着を検討すべきです。
大きな虫歯や詰め物がある歯
歯の大部分が虫歯で侵食されていたり、大きな金属やセラミックの詰め物が入っている歯は、残存する健全な歯質が少ないため、歯ぎしりの力に耐えにくくなっています。詰め物と歯の境界部分にひびが入りやすく、そこから破折が進むケースが多く見られます。
歯ぎしりの期間が長い人
若い頃から歯ぎしりを長年続けてきた人は、歯の表面がすり減り、歯が全体的に脆くなっているケースがあります。累積的なダメージが限界に達したとき、比較的小さな刺激でも歯が割れてしまうことがあります。歯の摩耗が進んでいると感じたら、すぐに対策を講じることが重要です。
歯が割れるとどうなるか|放置のリスク
歯ぎしりで歯にひびが入っても、初期段階では痛みが出ないことがあるため、気づかずに放置してしまうケースがあります。しかし放置すると、次のような深刻な結果につながります。
ひびの隙間に細菌が侵入して虫歯が急速に進行します。ひびが深くなると神経に達し、根管治療が必要になります。さらに進行すると歯根にまでひびが広がり、最終的に抜歯に至ることがあります。また、割れた歯の隙間から細菌が侵入すれば歯周病の悪化も引き起こします。
「歯が少し欠けた程度」と思っていたことが、適切な処置をしないまま歯ぎしりを続けることで、取り返しのつかない結果になることもあります。早期発見・早期対処が大切です。
予防と対処法
マウスピース(ナイトガード)の使用
歯ぎしりによる歯の破折を防ぐための最も有効な手段が、歯科医院で製作するカスタムマウスピース(ナイトガード)の就寝時装着です。マウスピースは歯と歯が直接ぶつかることを防ぎ、歯ぎしりの力を分散・吸収させることで歯への負担を大幅に軽減します。
市販のマウスピースも存在しますが、自分の歯型に合っていないものは噛み合わせに悪影響を与えることがあるため、歯科医院での作製が推奨されます。費用はかかりますが、歯を失うリスクと比較すれば非常に価値の高い投資といえます。
定期的な歯科検診
歯ぎしりによるひびや摩耗は、症状が出る前の段階では自覚しにくいものです。3〜6ヶ月に一度の定期検診で歯の状態をチェックしてもらうことで、破折の前段階で発見・対処することが可能になります。歯科医師は歯の摩耗パターンを見ることで歯ぎしりの有無や程度を判断できます。
ストレス管理と生活習慣の改善
歯ぎしりの主要な原因のひとつがストレスです。就寝前のリラクゼーション(入浴・ストレッチ・深呼吸など)を取り入れてストレスを軽減することが、歯ぎしりの緩和につながります。また、カフェインやアルコールの過剰摂取は睡眠の質を下げて歯ぎしりを悪化させるため、就寝前の摂取は控えましょう。
噛み合わせの治療
噛み合わせのズレが歯ぎしりを誘発・悪化させている場合は、咬合調整や矯正治療によって改善できることがあります。歯ぎしりが続いている場合は、噛み合わせの状態を歯科医師に確認してもらうことが重要です。
まとめ
歯ぎしりで歯が割れることは、決して稀なことではありません。特に神経を取った歯・大きな詰め物がある歯・長年の歯ぎしりで摩耗が進んだ歯は破折リスクが高く、放置すると最終的に抜歯という深刻な結果につながることがあります。
歯ぎしりを指摘されている方・噛み合わせに違和感がある方・特定の歯だけしみたり痛んだりする方は、歯ぎしりによる歯のダメージが進行している可能性があります。早めに歯科医院を受診し、マウスピースや適切な処置で大切な歯を守ることを強くおすすめします。
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