プールと口腔環境の関係とは?夏の水泳シーズンに知っておきたいこと
夏になると、プールや海での水泳を楽しむ機会が増えますよね。爽快感のあるレジャーですが、実はプールの水と口腔内の健康には、意外な関係があることをご存知でしょうか。今回は、プールと口腔環境の関係について詳しく解説していきます。

プールの水が歯に与える影響
プールの水には、衛生管理のために塩素(次亜塩素酸ナトリウムなど)が使用されています。この塩素消毒された水が、実は歯に一定の影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。
プールの水と「水泳選手のう蝕」
競泳選手の間では、以前から「水泳選手のう蝕(スイマーズ・カリエス)」と呼ばれる現象が知られています。これは、長時間にわたって頻繁にプールで練習する選手に、歯の変色や表面の変化が見られる現象を指します。
水泳選手のう蝕が起こるメカニズム
プールの水は、衛生管理のために一定の塩素濃度が保たれています。この塩素処理された水に含まれる成分が、唾液のタンパク質と反応することで、歯の表面に有機物の膜(ペリクル)が通常よりも早く、また厚く形成されやすくなると考えられています。この膜に色素などが付着しやすくなることで、歯の変色が起こりやすくなるとされています。
また、プールの水は種類によって酸性やアルカリ性に傾いていることがあり、こうしたpHバランスの偏りが、歯の表面のエナメル質に影響を与える可能性も指摘されています。
一般的なプール利用者への影響
水泳選手のう蝕は、主に競泳選手のように長時間・高頻度でプールに入る場合に見られる現象とされていますが、一般的なレジャーでのプール利用であっても、まったく影響がないとは言い切れません。特に以下のような条件が重なる場合は、多少なりとも注意しておくとよいでしょう。
長時間の利用
夏休み中、一日中プールで過ごすといった長時間の利用は、通常のレジャーよりも歯への影響が蓄積しやすい可能性があります。
頻繁な利用
夏休み期間中、連日のようにプールに通う習慣がある場合、その頻度に応じて影響が積み重なることも考えられます。
口を開けたまま泳ぐ習慣
水泳中に口を開けたまま呼吸をする習慣があると、プールの水が口の中に入る機会が増え、歯への接触時間が長くなる可能性があります。
プール利用時に注意したいその他のポイント
1.口腔内の乾燥
プールに入っている間は、体は水に浸かっていても、実は口の中は乾燥しやすい状態になることがあります。特に水泳中は口呼吸になりやすく、唾液による自浄作用が働きにくくなることがあります。
2.歯ぎしりや食いしばり
競泳などで力を入れて泳ぐ際、無意識に歯を食いしばってしまうことがあります。これが習慣化すると、歯や顎関節への負担につながる可能性があります。
3.プールサイドでの飲食習慣
プールでの休憩時間に、冷たいジュースやアイスなど、糖分を含む飲食物を摂る機会が増えることも、間接的に虫歯のリスクに関わってくることがあります。
プールを楽しみながら口腔環境を守るための対策
1.プール後は口をすすぐ、うがいをする
プールから上がった後は、真水で口をすすぐ、うがいをするといった習慣を取り入れることで、口腔内に残ったプールの成分をある程度洗い流すことができます。
2.水分補給を忘れずに行う
プール利用中は、体が水に浸かっているため喉の渇きを感じにくいことがありますが、実際には汗をかいていることも多く、水分補給を怠ると口腔内の乾燥につながることがあります。こまめな水分補給を心がけましょう。
3.鼻呼吸を意識する
水泳中、できるだけ鼻呼吸を意識することで、口腔内への水の侵入や乾燥を軽減することができます。
4.プール利用後の丁寧な歯磨き
プールを利用した日は、通常以上に丁寧な歯磨きを心がけることで、歯の表面に付着した可能性のある成分をケアすることができます。
5.フッ素配合の歯磨き粉を活用する
フッ素には歯の再石灰化を促す効果があり、日常的にフッ素配合の歯磨き粉を使用することで、歯質を強化し、外部からの影響を受けにくい状態に整えることができます。
水泳を頻繁に行う方への追加のケア
定期的な歯科検診を受ける
水泳を習慣的に、あるいは競技として行っている方は、歯の変色や表面の変化がないか、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことをおすすめします。
気になる着色があればクリーニングを検討する
歯の表面に着色や変化が気になる場合、歯科医院でのクリーニングによって、専門的なケアを受けることができます。
子どもの水泳と口腔ケア
夏休み中にスイミングスクールに通ったり、頻繁にプールで遊んだりする子どもも多いのではないでしょうか。子どもの歯、特に乳歯や生えたばかりの永久歯はエナメル質が薄いため、大人以上に配慮が必要な場合があります。プール利用後のうがいや、丁寧な仕上げ磨きを習慣づけることを意識してみましょう。
過度に心配する必要はない
一般的なレジャーとしてのプール利用であれば、水泳選手のう蝕のような顕著な影響が出ることは多くありません。過度に心配してプールを避ける必要はなく、基本的な口腔ケアを継続していれば、夏のプールを安心して楽しむことができます。
こんな場合は歯科医院に相談を
以下のような場合は、歯科医院への相談を検討しましょう。
・歯の表面に変色や白濁が見られる
・水泳を頻繁に行っており、歯の変化が気になる
・冷たいものがしみるようになった
・歯ぎしりの自覚がある
まとめ
プールの塩素消毒された水は、長時間・高頻度で利用する場合、歯の表面に変色などの影響を及ぼす可能性があることが「水泳選手のう蝕」として知られています。一般的なレジャーでの利用であれば過度に心配する必要はありませんが、プール後のうがいや水分補給、丁寧な歯磨きといった基本的なケアを心がけることで、より安心してプールを楽しむことができます。夏の水泳シーズンを満喫しながら、口腔内の健康にも少し意識を向けてみてはいかがでしょうか。
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