糖尿病と歯周病について

インスリンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気。 網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴う。 糖尿病は、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。

歯周病でどうして血糖値が高くなる?

歯茎の炎症で歯周病が糖尿病に関わってくるの?

出血や膿を出しているような歯周ポケットからは、炎症に関連した化学物質が血管を経由して体中に放出されています。
中等度以上の歯周ポケットが口の中全体にある場合、そのポケット表面積の合計は掌(てのひら)と同じ程度と考えられています。歯周ポケットの中身は外からはなかなか見えませんが、手のひらサイズの出血や膿が治療なしで放置されていると考えると、からだ全体からも無視できない問題であることが理解できると思います。
ポケットから出て血流にのった炎症関連の化学物質は、体のなかで血糖値を下げるインスリンを効きにくくします(インスリン抵抗性)。そのため、糖尿病が発症・進行しやすくなります。糖尿病は歯周病の「原因」であるとともに「結果」でもあるということです。
しかしながら、先述のガイドラインには血糖値を改善することにより歯周病が改善し、歯周病を治療することにより血糖値が改善することを示す研究結果が示されています。
糖尿病の患者さんで歯周病を合併されている方々は、積極的な歯周病治療が必要です。
また、糖尿病の患者さんや予備軍の方々は血糖コントロールに努め、糖尿病の三大合併症や心筋梗塞、脳梗塞とともに歯周病を予防することがきわめて大切です。
地域や職場の健診で糖尿病や予備軍の可能性が指摘された方々は、ためらわずにかかりつけの内科医を受診され、血糖値のコントロールに努めていただく必要があります。
また、かかりつけの歯科医を見つけて定期的に受診され、歯周病のチェックに努めていただくことが糖尿病の予防や治療につながります。

歯周病と糖尿病の「負のスパイラル」を断ち切るには、糖尿病と歯周病をともにしっかりと治療することです。実際、歯周病の糖尿病患者が歯周病の治療を受けたところ、血糖値が下がったという報告が数多く出されています。糖尿病の人は、歯肉が炎症を起こしていたら、ブラッシングによるプラーク(歯垢)コントロールをしっかり行い、歯科クリニックで炎症の原因となっている歯石を確実に取り除くことです。歯肉の炎症が軽減できればインスリンの働きが回復し、血糖値も改善します。また、糖尿病を治療することで歯周病の症状が改善し、歯肉の出血が減ったなどの例も報告されています。

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