指しゃぶりが及ぼす影響

・指しゃぶりと出っ歯の関係性

日本小児歯科学会「小児科と小児歯科の保健検討委員会」の発表によれば、「指しゃぶりをする2歳児」には高い確率で上顎前突(出っ歯)が見られました。5歳児になると、「指しゃぶりをする子供が上顎前突である確率」はさらに高まったとのことです。

この調査結果より「指しゃぶりと出っ歯に相関関係が認められる」という認識には十分な根拠があるように思えます。出っ歯のほか、噛み合わせた状態でも、上下の前歯に隙間がある状態や、上下の奥歯が左右にずれていて噛みあわない状態などの原因になることもわかっています。

・おしゃぶりも不正咬合の原因になる

同様に、おしゃぶりも不正咬合の要因になることがわかっています。ただ、おしゃぶりの場合は上顎前突よりも、開咬を引き起こす確率が高いようです。ただ、2歳頃までにおしゃぶりの使用をやめれば、発育につれて噛み合わせ・歯列は改善される傾向があります。よって、噛み合わせに大きな問題を生じやすいのは、「3歳を過ぎてもおしゃぶりの使用を続けている場合」ということになります。

2歳~2歳半というのは、乳歯が生えそろう時期に相当します。この時期までにおしゃぶりをやめられるかどうかが、噛み合わせ・歯列に大きな影響を与えます。

・指しゃぶりに対する考え方をどうするか?

指しゃぶり自体を「悪習慣」と判断する事は間違っています。問題は、やめるべき時期にやめられるかどうかです。「3歳を過ぎて指しゃぶりをしている場合に不正咬合を起こしやすい」という事実から、「3歳を過ぎる頃までに指しゃぶりの習慣をなくすこと」が不正咬合を予防するために重要なポイントですね。

・昼間の指しゃぶりが、2歳頃までに減少するかどうか

オモチャを手に持って遊ぶ年齢になると、自然と指しゃぶりは減少します。眠いときや眠っているとき、退屈なときに指しゃぶりをすることはありますが、起きて活動しているときにはしなくなります。1~2歳の段階になっても、一日中ずっと指しゃぶりをしているようなら、注意深く経過を見る必要が出てくるでしょう。

・通常は3歳を超えると急激に減る

保育園・幼稚園などに入る3歳頃は、母子分離が可能になる時期です。友達と駆け回ったりするうち、自然と指しゃぶりをしなくなるのが普通です。この時期に入っても、なお頻繁な指しゃぶりが見られる場合は、かかりつけ医に相談して具体的な対応を考えたほうが良いでしょう。

また、子供を退屈させないよう積極的に話しかける習慣をつけるようにしてください。話しているときは指をしゃぶれませんから、親子間で十分な会話をすることは非常に有効です。子供の手を握る、子供と一緒に遊ぶなど、常に「何か楽しいことをするために手を使っている状態」を保ってあげてください。そうすれば、自然と指しゃぶりの習慣はなくなっていくはずです。過度に心配する必要はありません。「3歳以降に指しゃぶりをやめられそうかどうか」を確認しながら、あたたかく成長を見守ってあげてくださいね。

« »

  • tel:072-673-4483
  • お問い合わせ
  • ネット予約
  • メニュー